コンパクトEV e-208で、
東京から淡路島を目指す600kmの旅ストーリー

01
旅の目的
片道約600kmのロングドライブで思わぬ発見を

2020年に日本上陸を果たしたプジョー208。最大のトピックはエンジン車と並行してピュアEVモデルのプジョーe-208も同時リリースしたことだろう。これは、電動化を見据えて開発された新世代プラットフォームCMP(コモン・モジュール・プラットフォーム)の存在が大きく、フランス本国のみならず、日本でも数少ないコンパクトEVとして確固たる地位を築いている。
e-208のバッテリー容量は50kWh、WLTC航続距離は395kmというスペックを鑑みれば、シティコミューターとして本領を発揮するモデルであることに違いはないが、試乗を重ねそのポテンシャルを知るほど、市中だけのクルマとは言い切れない。
では、思い切ってロングドライブに出てみてはどうだろう、そんな考えが頭をよぎった。普段は見逃していた気付きやALLUREを理解する“きっかけ”になるのでないか……。そんな思いから、コンパクトEVで、ロングドライブを味わう東京から約600km、はじまりの島・淡路島を堪能する旅の計画を実行することとなった。

*一充電走行距離は定められた試験条件下での値です。お車の使用状況(気象・渋滞等)、運転方法等(急発進・エアコン使用等)に応じて走行距離は大きく異なります。

02
高速道路のクルージング
コンパクトでも
グランドツーリング性は良好

今回は東京ICを出発し、東名高速、新東名高速、名神高速道路を走り、明石海峡大橋を渡って淡路島を目指すロングドライブとなる。e-208は最高出力100kW(136ps)、最大トルク260Nmを発揮。EVのなかでは決してトルクが大きい部類ではないものの、東名高速道路をしばらくの間クルージングした印象としては過不足ない。運転に余裕が生まれれば車窓の景気も楽しめ、ロングドライブの楽しみも増してくるもの。一方、アクセルをフラットアウトさせてみると、エンジン車よりも車両重量が嵩むのにも関わらず、素早い加速性能を披露してくれた。

03
質感の高いインテリア
上質なインテリアとi-Cockpitは、ドライブの疲労を軽減してくれる

車内で過ごす時間が長いロングドライブでは、目に映るインテリアの美的センスや質感がドライビングの歓びや疲労度にも影響してくる。その点、e-208のインテリアは、ことさらに先進性を主張したデザインや、おせっかいなまでにホスピタリティを充実させることはしない。あくまでもさりげなく、でも満足度の高い質感とユーザビリティを提供してくれ、その筆頭が「i-Cockpit」と言えるだろう。小径ステアリングと、その上から3Dで表示されるメーターを覗くことで、目線の移動が少なく直感的なドライブを可能としている。

また、EVは特別なクルマという印象を持つ人は少なくないが、e-208には、エクステリア及びインテリアデザイン、積載能力、キャビンスペースがほぼ同等のガソリンエンジン車208が用意されている。つまり同じモデルの中から、ユーザー自身の生活スタイルや用途に応じてパワートレインを選べる訳で、このような選択肢があることは歓迎すべきことだろう。

04
e-208ならではのドライブフィール
絶妙なセッティングがもたらす
爽快なドライブフィール

ドライブフィールはプジョーの特長でもある“しなやかさ”が光る。特に足回りに関してはエンジン車よりもしなやかな印象で、阪神高速道路3号線のタイトなコーナーが連続する区間では、狙い通りのハンドリングに合わせて頭の向きを変え、フラットな姿勢を保ったままコーナリングを駆けぬける爽快なドライビングを体験することができた。このしなやかな乗り心地は、フロア下に配置されたバッテリーによる低重心化寄与しているが、何よりも“猫足”とも評されるプジョーならではのシャシー全体のセッティングが優れていることが大きいだろう。またEV特有の静粛性、低振動も乗り心地に貢献しているように思われた。

05
電動化の意義
エココンシャスの視点なら
バッテリー容量は大きいことが
良いとは限らない

e-208の実測走行距離は300km弱。理論上は600kmの距離であれば、満充電でスタートして途中のSAなどで50kWhの急速充電を2回行なえば走れる訳だが、実際には浜松SA、草津SA、淡路ハイウェイオアシスと合計3回の急速充電を行なった。ただ、この充電時間がきっかけとなり、各SAの名物や美味しいコーヒー、地元で採れた新鮮なフルーツにも出会えた。寄り道を愉しみ移動に時間をかけることで、贅沢なひとときや思いもよらない体験ができることは、旅の歓びに通じると改めて実感した。

淡路島到着まで9時間ほどの時間を要したが、幸運にも淡路サンセットラインではドラマチックな夕日にも巡り会え、この日の最後は穏やかで牧歌的なドライブにて締めくくることができた。こんな爽快な気分の中で考えさせられたのは、コンパクトEVの有用性だ。たとえば航続距離の長さを求めて大型のバッテリーを積むと、急速充電なら強力で消費電力の大きな90kWh供給が推奨され、走行中は冷却性を高めるのための熱マネジメントも必須となるので、トータルではエネルギー消費量や損失量が大きくなる。確かにバッテリーの大小は一長一短ではあるが、小型バッテリーを積むコンパクトEVでのロングドライブであっても、予想外な旅の歓びに出会えることなどを勘案すると、乗り方次第で十分にメリットを感じられるはずだ。

06
宿泊先で感じたクリエイティブ
本質を求めるヴィラのクリエイティブで癒しを

この日の宿泊先として選んだのは南あわじ市の小高い別荘地にある「Villa Edge」。淡路島出身の建築家・平松克啓さんにより設計された一棟貸し切りの瀟洒なヴィラで、部屋からは福良湾を眼下に一望することができる。平松さんは淡路島の素材を使った家の提案や淡路島の古民家再生などの活動を行ない、事務所に併設するカフェやギャラリーを通して氏の活動や考えを発信している。幸運にも平松さんとお話しする機会を得て、モノづくりに対する考えを直接お聞きした。氏は「気持ち良い暮らしって何だろうと考えたとき、世間の流行りを取り入れるのではなくて、自分たちの暮らしや生活している状況など、日常の事実を見つめて、そこに見えたものからモノづくりをすることが大切だと思っています」と語ってくれた。流行や世間の空気に惑わされずに本質を見極め、自らの価値観を信じる平松さんのクリエイティブが詰まったヴィラには癒しを感じた。またそれはプジョーの「ALLURE=自分らしく、自分の世界を愉しむ」という思いにも通じている。あくまでも乗る人の感覚や感情を中心に据えた上で、デザイン、操作性、乗り心地などすべてを魅力的に設計する。だからこそ乗る人は自分らしく愉しむことができる。プジョーのクリエイティブは、これからのモビリティであるEVの在り方のようにも思えた。

9時間のドライブでも驚くほど身体は疲れなく、「Villa Edge」で過ごした時間によりこの上ない安らぎを得ることができたのは、平松さんとプジョーとのクリエイティブに関する考えが近しく、相乗効果によるものだったからかもしれない。

07
プジョーの姿勢
e-208は自分らしいカーライフを演出してくれる

次の日は、ドライブをしながら淡路島観光へ。パワースポットとしても人気のある日本発祥ゆかりの地巡り、洲本城からの絶景、地元の食材を使ったランチ。夜は神戸に渡り六甲山から夜景を眺めるのもいい。

そして今回、心地よい旅を楽しめたのは、何よりもe-208の存在が大きいだろう。EVであるのに主張し過ぎずない洗練されたデザインは、日本の原風景が残る島の景観と不思議なほどマッチした。疲労感をも軽減してくれるi-Cockpitの操作性、高速路から街路、ワインディングまで、路面をしなやかに掴む快適な乗り心地。そんな芸当をさらっとこなしてしまうe-208は、やはりコンパクトEVのパイオニアなのであろう。高い技術力を持ちながらも、それをひけらかすことなく、あくまでもさりげなくEVを推進するプジョーらしさには好感を抱く。それは、クルマの性能や機能一辺倒ではなく、さり気なく主張するデザインや高い品質など、本質的なクルマの魅力を追求することで、乗る人に「ALLURE=自分らしく、自分の世界を愉しむ」という価値を提供するしなやかなプジョーの姿勢に共感を覚えたからかもしれない。