汲めども尽きないトリビアの泉 Vol.01 プジョーうんちく事典


エンブレムはライオンです
エンブレムのライオンは、プジョーの発祥地であるフランス東部フランシュ・コンテ地域中核都市ベルフォールの貴族紋章にちなんでいます。この地域は中世から隣国との争いが絶えず、人々はいつしか、勇敢なライオンに思いを託すようになりました。プジョー創立後の19世紀後半、町には「ベルフォールのライオン」と称される像が建てられ、いまでは観光名所となっています。

ペッパーミルも作っています
プジョーの200年以上の歴史で、自動車が登場するのは後半です。それ以前は他の製品が主軸だったのです。その代表格がペッパーミルやコーヒーミルと自転車。どちらも、製鉄業という黎明期の本業を活かしたものです。ペッパーミルの定番である細長い本体の上部を回してガリガリやるデザインは、19世紀にプジョーが創りだしました。現代でも世界のトップブランドとして君臨しています。自転車では競技で大活躍し、現在ではカジュアルなシティサイクルとして人気です。

世界最古と呼ぶ人もいます
ガソリンエンジンを搭載する「自動車」が誕生したのは19世紀後半。ドイツからでした。これらは一品製作の実験車の色合いが強いものでした。その技術を活かし、ドイツ勢と提携して、1890年にプジョーが創ったのが「クアドリシクル(4輪車。歴史上はタイプ2と呼ばれる)」。これは最初の1台ののちに同仕様でさらに4台作られ、数年後には2ケタ台数を生産するようになりました。「世界最古の量産車」と呼ばれるゆえんです。

史上初の自動車レースに勝ったことがジマンです
自動車の歴史で初めてのモータースポーツイベントは、1894年に行われた「パリ-ルーアン」です。プジョーはここに自社初のガソリンエンジン搭載4輪車「クアドリシクル」をエントリー。126kmのレースを2位でフィニッシュしました。しかし1位の蒸気エンジン車が「不便な乗り物」という理由で失格。イベントの主旨が、「新時代にふさわしい」ものだったためです。結果プジョーが優勝。プジョーは「史上初」に事欠きません。
実は、ラリー界の名門なんです
モータースポーツはプジョーのDNAのひとつですが、第二次大戦後は主に悪路を走るラリーで大活躍しました。1960〜1970年代はアフリカのサファリラリー、80年代以降は世界ラリー選手権やパリ-ダカールラリーなどで多くの勝利とチャンピオンを獲得。「砂漠のライオン」と尊敬を集め、プジョーの信頼性と万能性の高さは世界に広まりました。そのときに活躍した504や205といったモデルは、自動車好きの永遠のアイコンになっています。

トレンディドラマに出演したことがあります
日本でプジョーの名をいちやく高めたのが、1980年代のコンパクトハッチバック205シリーズです。そのバリエーションモデルに、カブリオレボディの205CTIがありました。CTIは1989年放映のトレンディドラマ「ハートに火をつけて」で浅野ゆう子さん演じる主人公の愛車として登場し、当時の華やかな世相も手伝い大人気となりました。プジョーは伝統的に小粋なオープンカーが得意で、そういう意味でもプジョーらしさのあふれたモデルでした。

ル・マンでぶっちぎったのはキモチよかったです
世界最高峰の耐久レース、ル・マン24時間レースで、プジョーは3回の総合優勝を果たしています。圧巻だったのは1993年。ワン・ツー・スリー・フィニッシュで表彰台を独占。会場にはフランス国旗が打ち振られました。直近では2009年見事にワン・ツー・フィニッシュを決めています。

text=Naoki Kaneko