名物企画、「長期テスト」に採用 『CAR GRAPHIC』編集部が語る508 SWの魅力
グローバルな商品にこそ、ローカルな魅力を
1962年に創刊された『CAR GRAPHIC(カーグラフィック)』は、日本における自動車ジャーナリズムの草分け的存在で、優秀な自動車ジャーナリストを多数輩出してきました。同誌の人気企画のひとつが、長期テスト。編集部がディーラーを介した通常の方法で車両を購入し、最低でも1年以上の長期間にわたってテストを行うというものです。
2021年5月27日、カーグラフィック編集部が長期テスト車として購入した508 SW GTが納車されました。納車から4カ月で、すでに走行距離は1万2000kmを超えています。
508 SWを導入した理由を、株式会社カーグラフィック代表の加藤哲也さんにうかがいました。加藤さんによれば、導入の理由はまず第一に、編集部内で508の評価が高かったことだそうです。
「2019年にニューモデルとして508が日本に導入された時に、編集部の評価が高かったんです。快適な乗り心地と運転が楽しめる操縦性を両立しているし、デザインも個性的です。また、そうしたジャーナリストとしての評価とは別に、ひとりのクルマ好きとして、このクラスのプジョーが昔から好きだったという理由もあります。たとえば1980年代に接した505は、端正なスタイリングと模範的な乗り心地を備えていました。その伝統は、最新の508にも受け継がれていると思います」
加藤さんは、近年のプジョーは508に限らず、208といい308といい、デザインのレベルが高いと評価します。
「ほかのどのブランドにも似ていないし、208、308、508と、どのモデルを見てもひと目でプジョーだとわかる共通のライオンの顔が出来上がっています。おそらく、フランス車らしくあるにはどういうデザインにするべきか、プジョーらしさとは何か、という点を突き詰めて考えたのでしょう。グローバルな商品こそローカルな魅力があるべきだというのが僕の考えで、最近のプジョーは見ても乗ってもフランス車らしいし、プジョーだけでしか味わえない魅力を備えていると感じます」
玄人も高く評価する508 SW
では、実際に508 SW GTを日常的に使った感想はどのようなものでしょうか。
「先日、東京と鈴鹿サーキットを往復する機会がありました。片道400kmほどの道のりですが、乗り心地のよさがこのクルマの一番の魅力だということを確認しました。電子制御減衰力可変ダンパー「アクティブサスペンション」の設定がとにかく巧妙で、ハーシュネス(路面からの衝撃)を上手に吸収しながら、プジョーらしいフラットで快適な姿勢を保ちます。アクティブクルーズコントロールなど、最新の運転支援装置が備わっていることもあって、長距離が本当に楽です。あと、われわれの仕事はカメラマンの機材など荷物がべらぼうに多いので、通常の状態で530ℓ、後席を畳めば1780ℓへと飛躍的に増大する508 SWの荷室の広さは本当にありがたいです。SUVのほうが荷物を積めるという声もありますが、SUV一辺倒になると街の景色がつまらなくなるじゃないですか。セダンやワゴンを応援したいという気持ちも、508 SWを長期テストに導入した理由のひとつです。ドライビングという観点から見るならとにかくストレスフリー。特に133kW(180ps)/5500rpm、250Nm/1650rpmを発揮する1.6ℓPureTechガソリンエンジンと8段ATの組み合わせは、スムーズさとドライバビリティの高さを両立し、意のままに操れる爽快感が得られます」
ここで、508 SW GTのハンドルを握る機会が最も多いという、カーグラフィック編集部の久保健さんにもお話をうかがいました。
「長距離ドライブが得意だというのは僕もまったく同じ感想です。宮城県のスポーツランドSUGOに行った時に、それを感じましたね。僕はもともと、カチッとしたドイツ車が好きでしたが、508 SWにはカチッとしたフィーリングと、フランス車らしいしなやかさの両面があるんです。もうひとつ、私たちの仕事だと、このクルマをカメラカーとして使うこともあります。カメラマンが508 SWに乗って、走りながら被写体となるクルマを撮るわけですが、どのカメラマンも508 SWは揺れが少ないから撮影が楽だと口を揃えますね。4カ月でここまで走行距離が伸びたのは、荷物も乗るし長距離も楽だし、カメラカーとしても有能だから、編集部員に引っ張りだこだったという理由があります。」
なるほど、目の肥えたカーグラフィック編集部員にも認められ、日々の仕事の相棒として選ばれたのが508 SWだというわけです。今後も、長期テストでの508 SWの活躍を楽しみにしたいと思います。
text=BLEU
photo=Takayuki Kikuchi