LION WINTER DRIVE
3008 HYBRID4で冬の星空ドライブ
誰もいない“空”を 探しに。
3008 HYBRID4を駆って、冬の光を愉しむドライブへ。フリーエディターの宮崎正行さんが、美しい星空を探してショートトリップ。そこには、走破性に優れたクルマだからこそ見られる景色がありました。時間の経過とともに増していく星たちの輝き。贅沢なひと時が始まります。
明るい街から離れて、冬の星に会いに行く。
その気持ちが芽生えたのは、午後も1時を過ぎた頃。朝晩の冷え込みが日に日に厳しくなり、そろそろダウンジャケットの季節かな、と思い始めた初冬のある昼のこと。まだ時計の短針も長針も真上を向いたばかりの正午なのに、窓の外の太陽光はなんだか弱々しくてまるで午後3時のようだ。
「このままだと、せっかくの週末もすぐに終わってしまうな」
一抹の寂しさに取りつかれた刹那、クルマを走らせて日常を置き去りにしたい衝動に駆られた。どこに向かえばいいのか? と自問し、すぐに出した答えが「星空」だった。
凍てついた冬の星空。現実味のない、あの圧倒的な美しさ。気がついたら3008のキーを手にしていた。冬型の気圧配置のおかげで、観測ポイントのエリアでは晴天が続いている。目指すは……誰もいない場所。とにかく暗い方がいいということだけが気持ちの中で定まっていた。
駐車場に佇む3008を見る。印象的なエクステリアが星空ドライブへの高揚の輪郭をさらにクッキリとしたものに変えていく。優れたデザインには、目に見えない何かを動かす力がある。
プラグインハイブリッドモデルの3008 HYBRID4は、スタートボタンを押してもドラマチックなことは何も起きない。しかしひとたびアクセルを踏み込めば、電動モーターのトルクでハーネスに引かれるように車体が前方にたぐり寄せられる。
「たったひとりの星空ドライブ。こんなにワクワクしている自分って(笑)」
プジョー独自の<i-Cockpit®>は、久しぶりの運転でも何の躊躇もストレスもなく車体をコントロールさせてくれる。非円形の小径ステアリング越しのデジタルヘッドアップインストルメントパネルや、ダッシュボード中央のタッチスクリーン。ドライビングに関するあらゆるインフォメーションが、何にも妨げられずに自然に受け取ることができる。すべてが理知的に、直感的にレイアウトされていることにあらためて感心する。
それにしても冬の午後の太陽は眩しい。走り出してすぐにサングラスをかけた。
躊躇のいらない走破性
午後の高速道路は意外なほどに空いていた。このまま行けば、目的地には早着できる。時間に余裕が見込めた余勢を駆って、「高速を途中で降りて、ちょっと海辺にでも寄り道しよう」という気分になった。
そこは何度か訪れたことのある小さな海岸。大きな段差や玉砂利が多いので普通のクルマを寄せるのには気を遣うが、3008 HYBRID4は地上高が確保されたSUV。しかも4WDなので心配はない。海岸へつづく急な下り坂もヒルディセントコントロールが速度を自動制御してくれる。いざという時に真価を発揮する潜在能力の高さは、何にも増して頼り甲斐がある。
傾きつつある太陽の日差しできらめく水面を眺めつつ、ボトルに入ったホットコーヒーを口にふくんで一服。リフレッシュドライブの第一幕が終わり、幕間でひと息つくことができた。
クルマの進化を感じさせるプジョーのADAS
日没から暗闇までの明暗グラデーション──その減光具合がめっぽう早いのが、冬の夕まずめのルーティン。目が慣れないうちは運転に不安がつきまとうが、CCDカメラやレーダー、超音波ソナーなどのセンシング技術によって守られていることを期せずして体感できる時間帯でもある。
3008にはストップ&ゴー機能付のアクティブクルーズコントロールや車線内でのポジションを一定に保つレーンポジショニングアシスト、さらに夜間走行や二輪車の検知性能を高めたアクティブセーフティブレーキ(被害軽減ブレーキ)など多くの装備が搭載されている。それらの安全装備たちは決して出しゃばらず、つねに控えめにドライバーをバックアップし、安心感だけを与えてくれる。先進運転支援システム(ADAS)も日進月歩で進化していることに、手応えのあるリアルな未来を感じる。
県道を左折し、林道へ。観測ポイントに近づくにつれて景色はますます色を失い、ディープブルーの暗闇へと3008は吸い込まれていく。いつものオープンエリアを見つけクルマを減速する。このドライブの目的地、山の中腹の星空ポイントに到着した。
自分だけの時間をつむいでくれた星空と3008
この3008 HYBRID4には、フロントシートからリアシートの頭上までをガラスで覆ったパノラミックサンルーフが装備されている。この時間の山間部はすでに外気温がひと桁台に突入しているので、ここは大きな天窓にあやかるのがいい。
心地のいいナッパレザーのシートを倒して、天空を仰ぎ見る。時間が経過するにつれて目が暗順応し、見える星の数はますます増えていく。そしてエンジンが冷えたころ、上空には怖いほどたくさんの星の瞬きが。冬であればこその絶景がすぐそこに広がっていた。
週末の午後の気まぐれでスタートしたウインタードライブ。冬の澄んだ大気と、気持ちよく自分を運んでくれた3008のおかげで最高のエンディングを迎えることができた。
家路につくためにイグニッションをONにすると、フロントマスクの左右には縦にLEDデイタイムランニングライトが輝く。そのモチーフはライオンの牙と聞いているが、オリオン座を見たあとの今だけはまるで高高度をいくエアラインの光跡のように見えた。
- ※表示価格は2021年12月現在のメーカー希望小売価格で参考価格です。販売価格は各ディーラーが独自に定めております。
- ※価格、仕様、および外観は予告なく変更することがあります。
text=Masayuki Miyazaki
photo=Ken Takayanagi