LION DESIGN TRIP 508 SW HYBRID 体験をデザインするクルマ

デザインの優れたクルマに乗っていると、ウインドウ越しの景色がいつにも増してエモーショナルに感じます。走っている時も、停めた時も、まわりの雰囲気がにわかに華やぎます。それは、その場所、その時間をデザインすることと言えるかもしれません。道路、自然、空間、食事などがもつそれぞれの美しさを再発見し、すべての体験をデザインする旅へ。プジョー508 SW HYBRIDで出発します。

デザインコンシャスな旅への序章

低く、伸びやかなシューティングブレークスタイルの動的なデザイン。引かれた弓のしなりのように、タイトな緊張感に満ちているセレベス・ブルーのフォルム──。

かつてのどのワゴンボディよりもスタイリッシュに見える508 SW HYBRID。ライオンの牙を想起させるデイライトが見る者に強い印象を与えます。このクルマをドライブすることへの期待と、まだ見ぬ旅へのときめき。さまざまな感情が交錯して胸が高鳴ります。

今日のこれからの体験がどのようにデザインされるのか、愉しみです。

i-Cockpit®に見るデザイン思想

交通量の多い一般道から早く抜け出したくて、最寄りの首都高ランプへ。走り始めてからまだ30分も経っていませんが、プラグインハイブリッドゆえのきわめて静かな発進とスムーズな加速にたしなめられるように、急いていた気持ちが落ち着いてきました。

自分と向き合う豊かな時間に508 SW HYBRIDの室内は満たされていきます。その快適さに慣れてきたころ、プジョー独自のコックピットレイアウトであるi-Cockpit®のデザイン思想に気づかされました。

小径ステアリングとその上方のヘッドアップインストルメントパネル。そしてセンターコンソールのタッチスクリーンが配置されるi-Cockpit®。直感的な操作をもたらすプジョー独自のドライバー空間がそこにあります。巧みなレイアウトによって視線の動きが最小限に抑えられ、自然な運転姿勢を維持したまま、さまざまな情報へのアクセスも容易になる……。ハイレベルな機能と革新的なデザインは同源であることを感じる瞬間です。

プジョーの思想を具現化したi-Cockpit®の造形に感じる、頼もしさ、気づかい。デザインの効力がクルマを操る体験にも及んでいることが確認できます。

好みの走りをデザインできる

高速道路の速度域でも508 SW HYBRIDは抜群の安心感を与えてくれました。もちろん、最新のアクティブクルーズコントロールやレーンポジショニングアシストなどのADAS(先進運転支援システム)の恩恵もあるのですが、それ以上に優れたプラットフォームの功績にまずは感心させられます。路面の継ぎ目を感じさせない、きわめてフラットな乗り心地。地味な技術パートかもしれませんが、基本設計をおろそかにしないエンジニアの矜持と良心が垣間見えた高速走行でのワンシーンです。

ドライビングの最中、デザインの視点から道路について考察しました。高速ジャンクションでの緩やかなカーブ、ワインディングでの路面のカント、温泉街を抜けるタイトな県道の白線など、それらすべてにデザインが含まれています。道路というインフラは、日常に没しすぎて日ごろ見過ごしがちです。しかしそこには単なる景観整備という枠組みを超えた、デザインの存在があることをフロントガラス越しに感じることができました。そんな時間が持てたのも、i-Cockpit®と道路のデザインに「機能設計」という共通項が透けて見えたからかもしれません。クルマも道路も移動のための装置であり、空間です。ゆえにデザインを内包するのでしょう。

508 SW HYBRIDには、走りを好印象にするもうひとつの源があります。それはハイブリッドシステムに備わるパワーソースの連携の気持ちよさ。いま駆動力を生んでいるのが電動モーターなのか、ガソリンエンジンなのか(もしくはその両方なのか)が判然としないほどにシームレスなのです。高速道路でも上りのワインディングでも、ゆとりあるパワーを自由にコントロールでき「これぞフラッグシップ」という鷹揚さを愉しむことができました。

4つから選べるドライブモードもまた、508 SW HYBRIDの特筆すべきポイントです。パワートレインと電子制御アクティブサスペンションは見事な連携を見せ、各モードではっきりとした変化を体感できます。たとえばコンフォートモードでは、アクティブサスペンションが乗り心地を重視して制御され、路面の凹凸を何事もなかったようにいなします。スポーツモードでは、動力はエンジン主体で高出力に。かつアクティブサスペンションは固めのセッティングになり、安定感をアップさせます。しかしそれらのモード設定を超えて感心したのは、どのモードも「プジョーらしい快適」の水準を割り込まないこと。全体のバランスを取ったハイブリッドモードが、快適性においても動力性能においても、すでにハイレベルなのです。

シームレスでパワフルなハイブリッドユニットと、その性能を運転の愉しさに昇華させるドライブモード。508 SW HYBRIDでのドライビングは、まさに走りをデザインする行為そのものでした。

シンプルが生み出す豊かさ

都心部の喧騒を離れ、いよいよ本日の目的地「箱根リトリートföre」に到着しました。

ホテル名の「före」は、スウェーデン語で「前へ」の意味とのこと。北欧リゾートを感じさせるモダンデザインで貫かれたシンプルな建物の数々。それらの扉をひとたび開けば、客室もレストランも、そしてバスも、大きなウインドウから差しこまれる外光によってドラマチックな表情を見せてくれます。

広大な敷地面積にもかかわらず、客室数はわずか37室のみ。木々に囲まれた広いデッキテラスや、天井の高いダイニングスペース……。宿泊棟よりもパーソナルスペースに多くを割いた、真のリラックスを求める人のためのホテルスタイルです。ここにも、宿泊という体験のデザインがありました。

まずはロングドライブでの緊張をほぐすために、美しい木道の先にある湯船にゆっくりとつかりましょう。
楽しみなディナーはそのあとで。

クルマとホテルの共通項

四方をガラスで囲まれたレストラン「WOODSIDE dining」。大きな一枚板のテーブルに並べられたディナーは、食材豊かな駿河エリアが至近であればこそ提供することができる新鮮な肉、野菜、魚たちの七変化です。思わず「ここにも美しいデザインがある」と感じてしまいました。ウッドバーニングオーブンが中心に据えられたオープンキッチンと、その中を颯爽と行き来するシェフの手さばきを眺めながら、気持ちもおなかもゆっくりと満たされていきます。

「お客さまに自由なスタイルで、力を抜いて楽しんでほしいのです」

スタッフの方のさりげないひと言が、箱根リトリートföreのすべてかもしれません。温泉地として日本で一、二をあらそう、ここ箱根には数多くのリュクスホテルが立ち並んでいます。しかしそんなエリアにあって、想像を超えて「箱根らしくない宿泊」を体験できたことに胸がすく思いがしました。ここには、くつろぐためのデザインが揃っているのです。

508 SW HYBRIDと、箱根リトリートföre。静けさの中で濃密な時間の流れを感じることができたのは、移動と滞在のどちらにも通じる美点でした。クルマの性能とホテルのもてなしに通じるカスタマーファースト。デザインは思想から生まれる。そんな新しい発見に満ちた箱根への旅。「体験をデザインする」ことは、このクルマのオーナーだけに許された日常のようです。

  • ※表示価格は2022年1月現在のメーカー希望小売価格で参考価格です。販売価格は各ディーラーが独自に定めております。
  • ※価格、仕様、および外観は予告なく変更することがあります。